溺愛ENMA様
そんな時、急にルナが現れた。

三途の川の手前で、キョロキョロしているアイツを見た瞬間に、生き人だとすぐ分かった。

話しかけた俺を真っ直ぐに見上げる瞳が綺麗だったが、ガキっぽさが目立ち、好みではなかった。

二度目に出会った時、アイツは泣いていた。

奪衣婆(だつえば)と懸衣翁(けんえおう)に着物を脱げと迫られて、走って振りきったものの、転んでしまったのだ。

俺が閻魔だと名乗っても信じず、大切なイトコを助けに来たと話すルナは正義感に満ちていて眩しかった。

俺の言葉に癇癪を起こし、必死になってイトコがいかに善人かを捲し立て、少しふざけた俺の頬を、ルナは殴った。

挙げ句の果てに蘭にまで意見し、彼女を怒らせる始末だ。
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