溺愛ENMA様
『 あなたの心に真実の愛はないの?!閻魔にだって、お父さんにだって失礼だわ。それに、あなた自身にもね。だって、誰かを愛するのって、その人に愛を働きかけることでしょ?なら、いい加減なのはダメだよ 』

確かこんな事を言った気がする。

真っ直ぐで、一点の曇りもない眼で。

蘭は怒りに震えたが、俺は身体がムズムズした。

恥ずかしいような、羨ましいような、フワフワと心が浮くような気分だ。

真実の愛。

こんなガキみたいな女に、そんなもんが分かるのか?

この女が、愛を働きかけるのは、どんな男なんだ?

それが、もしも俺なら……俺は……。

小さくてか細いこの女の内には、一体何があるのだろう。
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