溺愛ENMA様
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どれくらい時間がたったのかは定かでないけど、ようやく対岸が見えてきたところで、私はお爺さんにお礼を言うとニッコリと笑った。

「お前、すげぇ根性じゃな。この三途の川はな、数千キロもあるんじゃぞ」

私はお爺ちゃんのあまりの嘘の大きさにカラカラと笑った。

「まっさかあ!」

「元気でな」

「じゃあね、お爺ちゃん!」

岸に上がって私が手を振ると、船もろともお爺ちゃんは、スウッと消えていった。

正直驚いたけど、ここは『あの世』だ。

信じられないような出来事だって当たり前。

私は気を取り直すとホッと息をついた。
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