溺愛ENMA様
案の定ルナは偽の閻魔帳を盗み、俺は思わずほくそ笑んだ。

……これでアイツを追いかける理由ができた。

俺は不眠不休で当面の仕事を片付けると、父上の屋敷へと向かった。

「なんだ」

「頼みがあります」

留守の間の審判を頼むと、父上は嫌な顔をした。

すかさず俺が、

「母上は仕事をする父上の横顔がとても好きだったと……」

「もういい。行け」

ルナに会える。

俺ははやる胸を抑えながら人間界へと向かった。
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