溺愛ENMA様
……あの日とは……私たちの前から閻魔が去った日だ。

「お前、もういいんじゃないのか?」

三年前の卒業式の日、私は涼馬に真実を告げた。

本当は、閻魔を愛しているって。

閻魔に会いに行ったけれど、彼に受け入れてもらえなかった事も。

「もう、充分だろ。そろそろお前自身の幸せを見つけろよ」

私は焦って少し笑った。

「なに、涼馬。私、今幸せだよ。無事に就職も決まったし、こうして皆とたまに会えるし」

「そーゆー意味じゃねぇよ」

真面目な顔で私を見下ろして、涼馬は続けた。

「お前だけだろ、恋人いないの。高木も桜も恋人と同棲中だし、俺だってお前に朱里を紹介してもらったし」
< 300 / 328 >

この作品をシェア

pagetop