溺愛ENMA様
「ほら!朱里の家に行くんでしょ?!早く駅に行かないと、終電逃すよ?」

「ルナ……」

「涼馬」

私は涼馬の言葉を遮るとニッコリと笑った。

「私は大丈夫!実は……もう少し閻魔を思っていたいの。完全に思い出に変わるまでは」

ごめんね涼馬、心配かけちゃって。

この気持ちを正直に言うと、涼馬はますます心配するから言えないけれど、私の中ではまだ閻魔は思い出になってないし、する気もないの。

ごめんね、涼馬。

それからありがとう。

「朱里によろしく言っといて。さあ、行くよ!」

私は涼馬の腕を掴むと、駅までの道を急いだ。
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