溺愛ENMA様
ダメだ、私。

泣くな、泣くな。

俯き加減でエレベーターに乗り込むと、急いで自宅の階のボタンを押し、鼻をすする。

夜に泣いて帰るってどうよ。

エレベーターの扉が開くと共に玄関ドアへと足を進め、予め手に持っていた鍵で開けると、私は素早く部屋に飛び込んだ。

「閻魔……」

声に出すと余計寂しいのに、呼ばずにはいられなくて胸が苦しい。

寂しいよ、閻魔。

三年が経っても、私は閻魔と暮らしていた頃を忘れられないでいた。

そういえば閻魔って、テレビが好きだったよな。

特にお笑いやバラエティー番組。
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