溺愛ENMA様
私を、愛しに……?

激しく脈打つ心臓が痛い。

それは本当?

なら、もっと答えて。

「消えない?私が振り向いて、あなたを見ても消えないでいてくれる?もし消えちゃったら、私はもう耐えられない」

震える声で真剣に問い掛けたのに、閻魔はフウッと笑った。

「ああ、消えない。ずっとお前の傍にいる」

もう、我慢出来なかった。

腕をほどき、振り返った私の眼に写ったのは、夢にまで見た愛しいその人だった。

「え、んまっ……!!」

凛々しい眉の下の些かつり上がり気味の眼。

その瞳は黒に近い紫色で。
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