溺愛ENMA様
私が尋ねると、閻魔は唇を引き結んだ。

涼やかな眼を真っ直ぐ私に向けて。

「閻魔」

閻魔の表情があまりにも真剣で、それでいて言葉を発しなくて、不安になる。

「ねえ、答えて」

「お前と、人生を共にするための修行」

「……え?」

人生を共に……?

人生を、私と……?

呆然とする私に、閻魔が優しく微笑んだ。

「母上は人間だったが俺は……生粋の人間じゃない。それどころか父上の血を色濃くひいているせいか、あの世の中でもかなりの力を持っている」

閻魔のお母さんが人間だったのは知らなかったけど、閻魔が凄く強いのは分かっていた。
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