溺愛ENMA様
反射的に両手で口元を覆い、私は眼を見開いた。

ふたりで同じように歳を……?

そんな……そんな訳、ない。

だって閻魔は人間よりも歳をとるのが遅い。

それも、かなり。

なのに、そんな事……。

怖くて突っ込んで訊けない私に、閻魔が困ったように笑った。

「そんな顔するな。言っただろう?お前とこの人間界で人生を共にするために修行したって」

それから私の両手首を優しく掴むと、閻魔はそれを顔の前から遠ざけた。

「それって、人間になったって事……?」

震える声しか出ない私を、閻魔は愛しそうに抱き寄せた。
< 313 / 328 >

この作品をシェア

pagetop