溺愛ENMA様
六文船のジジイって……。

「お爺ちゃん、元気?」

「ああ、元気だ」

「私、船に乗せてもらったんだよ」

「知ってる」

閻魔が白い歯を見せて笑った。

「し、死者の審判はどうするの?それにこっちで暮らすって事は、仕事探さなきゃならないんだよ?!現実的な事言って悪いけど、戸籍とかその、書類的な事とか……」

その言葉に閻魔が少しムッとして、私の額に自分の額をコツンとぶつけた。

「死者の審判なら、父上に任せてる。父上の天職だしな。それにこの世に住むための準備なら、もう完了してるし心配しなくていい」

「…………」

最後の術を使ったんだろうか……。

その時私はハッと我に返った。
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