溺愛ENMA様
こうなったら、逃げるしかない。

「誰か、たっすけてーっ!!!」

私は大きく息を吸うと、耳をツン裂くような大悲鳴をあげ、二人の手を振り払うと無我夢中で走り出した。

もう、やだやだ、なんで『死後の世界』って、こんな変なの!?

怖いし心細いし、もう嫌だ。

おまけに朱里は見当たらないし。

もう、本当にどうしよう。

「きゃあっ!!」

一心不乱に走っていた身体がフワッと浮いたかと思うと、私はドサッと地面に倒れて、思わず眼を閉じた。

膝と掌がジンジンと痺れるように痛む。

慌てて起きようとしたものの力が入らないし、なによりこの不気味な雰囲気に心が折れそうになる。
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