溺愛ENMA様
そのまま倒れるように仁にもたれると、彼の耳元に唇を寄せて、ヒソヒソ声で告げる。

「閻魔煩いから……そろそろ行って」

仁も私の耳に口を寄せた。

「ああ、分かった。コイツ、面倒くさいよな」

「まあね。じゃあまたね」

「了解」

仁が私にハグをした後溶けるように消えた。

「なんだ今のは」

「……なに……?」

「なんで小声であんな風に話すんだ」

「それは……」

アンタが面倒臭いから、とはまさか言えないしなー……。

私がベッドの上にペタンと座り、イライラしている閻魔を見つめると、今度は何故か彼がポカンと口を開けた。
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