溺愛ENMA様
私が話し終わるまで彼は唇を引き結んでいたけど、やがて何でもないといった風に口を開いた。

「なぜって、俺は閻魔だ。なんでも分かる」

……閻魔……。

腹立たしいのを通り越した。

……もう、いいよ。

こんなにボロボロの私を目の当たりにしても尚、ジョークを飛ばそうとする人なんだ、この人は。

「もういいよ。さよなら」

私は服をはらうと、彼の脇を通りすぎようとした。

そんな私を見て、目の前のイケメンは素早く私の腕を掴んだ。

「なんだよ、待てって」

「離してっ!」
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