溺愛ENMA様
だから私はそれ以来、たとえ霊的なものや、超自然的な存在が見えても、他人がいる時はスルーしている。

無視よ、無視。

だって、自分が変だと思われるのはどうしても嫌なんだもの。

そんなこんなで七、八年が経ち、18歳になった今年、大事件が起きてしまった。

イトコの朱里が、交通事故を起こしてしまったのだ。

朱里は私より二歳年上の二十歳で、その日は友達と野球観戦に出掛けていた。

その帰り道、朱里は自損事故を起こしてしまい、よそのお宅のブロック塀にノンブレーキで激突したらしかった。

第一発見者である、そのお宅の方が仰るには、朱里は座席ごと車外に飛び出していて意識がなかったらしい。

深夜零時。
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