溺愛ENMA様
案の定、

「どなた……?」

細く開いていた襖がゆっくりと開き、中の様子があらわになる。

「あ、の、私……」

私を一瞥した後、蘭という女性がフワリと笑って私の後ろの彼を見つめた。

「まあ、閻魔様……一体何処に行かれていたのです?」

そう言い終えると共に頬を赤く染め、彼女ははにかむように俯いた。

「淋しかったですわ」

……ビックリするわ。

さっき、部屋の中で別の男性とストロベリートークを繰り広げてたわよね!?

なに、この変わり身の早さは。

私は驚きを隠すことも出来ずに、まじまじと女性を見つめた。
< 40 / 328 >

この作品をシェア

pagetop