溺愛ENMA様
その時、部屋の中から物凄く大きな男性がゆっくりと姿を現して、私は思わず息を飲んだ。

渋い色の高価そうな着物を身にまとい、とても威厳に満ちていて、何よりも彼の頭の天冠?宝冠?が、とにかくゴージャスだった。

「閻魔。何処へ行っておったのだ。変成王(へんじょうおう)が探しておったぞ」

いやいや、どう見てもあなたが閻魔大王でしょ。

なのに、このイカツイ大男は、私を此処に連れてきたイケメンを閻魔と呼んで……。

なんなんだ、一体。

三人の輪に入れない私は、成す術もなくボケッと突っ立っていたのだけれど、急に延びてきたイケメンの手に肩を抱かれて、グイッと引き寄せられた。

な、何事?!

彼に密着した頬が熱い。
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