溺愛ENMA様
「閻魔様……?」

さっきの蘭とかいう女の人が、開け放たれたままの襖から、そっと顔を覗かせた。

よくよく見た彼女の肌は透けるように白く、大きな瞳が印象的な美人だった。

「閻魔様ぁ……」

なんて魅力的なの、この人っ!

変わり身の早さがたまらなく苛つくけどなっ!!

彼女は涙を拭う私にゆっくりと歩を進めると、私の頭の上から爪先までを舐めるように見つめた。

「……閻魔様……こんな生き人の女など、どこがいいのです?私では……不満なのですか?」

だめ。

もうダメ。

友達には絶対になれない。

閻魔も気に入らないけど、この女も腹が立つ!!

もういいや。
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