溺愛ENMA様
※※※

どれくらい時間が経ったかは分からない。

ひどく落ち込んでしまって身体が重い。

置いてけぼりにされた部屋は薄暗く、馴れたのか、お酒の匂いは気にならなくなっていた。

私はゆっくりと立ち上がると部屋を見回した。

入り口とは逆の壁際には棚があり、隙間なく本が並んでいる。

……あいつが本を読むなんて意外だわ。

……ん?

机が、光ってる……。

私は本棚の前の机に歩み寄った。

よくよく見ると、机じゃなくて置きっぱなしの本が光を放っている。

……棚にはこんなに沢山の本があるのに、どうしてこの本だけが光ってるんだろう。
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