溺愛ENMA様
私は淡い光に包まれた一冊の本を凝視して眉を寄せた。

……いつから光ってたんだろう。

私が閻魔に連れられて、この部屋に来たときから?

ううん、違う。

あの時は確か、光ってなかった。

私は素早く辺りを見回すと、机の上の分厚い本をゆっくりと持ち上げた。

重っ!!

あ……!

手に取った瞬間、嘘のように本から光が失われた。

代わりに黒々とした革張りの表紙には、珊瑚と瑪瑙、それに水晶が順番に埋め込まれていて、中央には濃い蜂蜜のような深い色合いの、滑らかな琥珀が鎮座していた。

一体、なんの本だろう。
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