溺愛ENMA様
あら、なんか書いてある……?

よく見ると、表紙の上部分には、革を押して文字が彫り込まれている。

私はそれを読もうと本を斜めにして、僅かな灯りに照らすと眼を凝らした。

閻魔……帳……?!

これって、エンマって読むよね。

えんまちょう……。

心臓がドキンと跳ねて、私は心の中で閻魔帳と何度も何度も呟いた。

閻魔帳って、あの閻魔帳?!

閻魔帳って、確か……。

私は眉間にシワを寄せると、子供の頃にお祖母ちゃんからもらった昔話の本を思い返した。

……たしかお爺さんが三途の川を渡って閻魔様のところに行くと、閻魔様が帳面を開いて、お爺さんが犯した生前の罪を調べて……。
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