溺愛ENMA様
頑張れ、私!

「いいのかなー!!女にうつつを抜かして閻魔帳無くしちゃうなんて、死後の世界で示しがつかないんじゃないのぉっ!?それに、あの蘭って女の人、あんたのお父さんの恋人っぽかったよね!?だって、アンタのお父さんに抱きついて甘ったるい声出してたもの。そこまで見境ないタラシ男が閻魔大王だなんて、世界中の恥でしかないわ!」

言い終えて閻魔を見据えると、彼は端正な顔を歪ませ、屈辱のあまり私を睨みつけた。

真っ黒だとばかり思っていた閻魔の瞳は黒に近い深みのある紫色で、私はその美しさにうっかり見惚れそうになるのを必死でこらえた。

負けないわよ、朱里のためだもの!

彼女には、夢がある。

弁護士になって、弱者を助けるって夢があるんだから!!

二十歳の若さで死ぬなんて、しかも地獄行きなんてありえないっつーの!!
< 63 / 328 >

この作品をシェア

pagetop