溺愛ENMA様
閻魔は怒りに震えながら、私を睨み続ける。

私はというと、この嘘がいつバレちゃうのかと気が気じゃなかった。

閻魔帳を持って帰ろうと決心した時点で、こうなることは大体分かっていた。

無関係の私が言うのもなんだけど、閻魔帳がなかったら死者を審判出来ないだろうし。

しかも相手は閻魔大王なのだ。

持って帰ってきた閻魔帳は、私の机の引き出しの中に教科書と一緒に放り込んである。

閻魔が魔法とか神通力とか使えるか知らないけど、使えないとしても探されたら速攻でバレるレベルだ。

だから、私のつまんない嘘なんてお見通しなんじゃないかって、怖かったの。

しかも盗んできた閻魔帳はまるで読めなかったし。

きったない字に加えて、字に意思があるかのように、文字が紙の上を忙しなく動き回るのだ。
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