溺愛ENMA様
それから全速力で階段をかけ降り、校舎を飛び出したところで、ようやく私は閻魔の腕を離した。

「なんだよ、お前は騒々しい女だな」

私は呆れたようにこっちを見下ろした閻魔に、敢然と言い返した。

「バカか、あんたはっ!なにが文禄三年じゃ!それに石川五右衛門の死んだ時が子供の頃とか、引くに決まってるでしょ!」

鼻息も荒く私が閻魔を見上げてそう言うと、彼は首をかしげた。

「なんでだよ」

「なんでって、人はそんな長生き出来ないのっ。あんたが変に思われるんだよ?!」

私がそう言って睨むと、閻魔は驚いたように少し眉を上げた。

「……」

「……なによ」
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