溺愛ENMA様
「俺は閻魔だぜ。こんなの朝飯前だ。まあ、一種の神通力だな。簡単な術だ」

「もしかして本当に私の家に住み着く気じゃないでしょうね!?」

「閻魔帳が見つかりゃすぐに帰ってやるよ」

「し、知らないもん」

「あっそ。じゃあ帰るぞ」

言いながら閻魔が私の手を握った。

「カバンかせ。お前の分も」

そう言って閻魔が私の肩からスクバを取った
時、少し離れたところから、キャアという女子の声が響いた。

見ると、一、二年の女子の集団が、閻魔を見て、ヒソヒソ何か話している。

閻魔もそれに気付いたらしく、形のよい唇に微笑みをたたえたまま、彼女達に視線を投げた。

たちまち黄色いざわめきが生まれる。
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