激変!?溺愛注意報
うぅ、申し訳無さすぎる…
お礼も言えなかった。
もう会えないんだろうなぁ
それからはお母さんが危ないからと塾の送り迎えをしてくれるようになってさらにお兄さんと会うことは無くなった。
半ば諦めて受験に奮闘する日々。
無事に合格したわたしは桜舞う入学式の日、奇跡を見ることになる。
新入生の名前が読まれ1人、また1人と起立していく。
そして、
『─────』
「はい」
ドクン、耳を疑った。
もう1年近く前のことで、声を聞いたのもあの日あの少しの時間だけ。
それでも、『はい』のたった2文字だけで一気によみがえってくる記憶。
嘘だ…
震える手を落ち着かせながら先生にバレないように視線だけそっとその方向に動かすと、そこにはあの日見たはずの大人っぽいお兄さんの姿。