妖狐の花嫁
私はこの場所をよく知っている。
ここは、小さい頃私がよく迷子になった後にたどり着いていた場所。
…今日、夢に出てきた場所。
「どうしていつも、ここに着くのかな…。」
昔はよくあったけど
最近まではもうここに着かなくなったのに。
そんな風に思っていると
ザザァッ---と神社の木々が騒ぎ出す。
(………?誰かいる…?)
私が立っている後方に
誰かの気配がして、
私は風でなびく髪を押さえながら
ゆっくり 振り返る。
「───あれ、気づいちゃった?」
「……!!」
そこにいる人物を見て
私は思わず目を見開いた。
何で……ここに黒田くんがいるの…?