妖狐の花嫁
「白、楼。吟の城の様子は?」
まず、真があらかじめ2人に頼んでおいた
黒狐の屋敷の様子についての報告から始まった。
白は真の言葉に
やや目を細めながら
ふぅ…と息を吐いて、口を開く。
「───案の定、
四方八方…徹底的に全封鎖や。」
「…やはりな。」
「恐らく、お前さんがあの子に術かけに行ったのバレたんとちゃうの。」
「…まぁ、勘付いてはいるだろうな。
でもそれも想定内だ。」
白の言葉に
何1つ動揺することなく、
真がそう答える。
妖力を使って
華に術をかけたのがバレて
それが原因で結界を───。
(…用心深い吟のやりそうなことだ。)
華を内側からも逃さないためというのも含め、強い結界を張ったか。
逃がす気はやはり更々ないらしい。
「それに加えて……
吟自身も 屋敷から出てる様子はありませんでした。」
「…ほう。」
「あの人間の娘の側から目を離すつもりは無いようですね。
…となると、やはり誘き出すしか方法は無さそうです。」