妖狐の花嫁






楼がそう言うと

白は胡座をかきながら
そこに顎肘をついて


うーん、と唸る。








……誘き出す、か。








「誘き出すとは…どうするんだ?」

「俺もそこが気になってんねん。
何か策でもあるんか、真ちゃん?」









俺と白が
真に視線を向けてそう問えば、



真はいつもの流し目をこちらに向けて

ゆるく、口角を上げた。








(…狐ってのはやっぱり
黒も白も、表情が妖麗で…似ているな。)







真のその表情に

吟と重なるものが見えて
俺は少しだけ目を伏せる。









─────同種は同種の弱さがわかる。










「……もちろん、もう策は考えてある。」








─────それが1番の、弱みだが。








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