妖狐の花嫁






「もう朝ごはん出来てるから
ちゃんと食べてから家でてね〜?」

「はぁーい。いってらっしゃーい。」







着替えが終わって 髪の毛もちゃんとセットした頃に

玄関からお母さんの声が聞こえて
私はそう言って返事をする。





職場が家から遠いお母さんは

いつも 私よりも早く家を出て行く。




お父さんは今は海外に単身赴任中で、
もう3ヶ月くらい会ってない。


たまに電話で話したりするけどね。







(あ、私もそろそろ出なきゃ。)







朝ごはんを食べながら
時計を見て、少し急ぎ始める。



始業式だから遅刻したくない。




私はパパッと朝ごはんを食べて
食器を片付けると

鞄を持って そのまま家を出る。






(すごい晴れてる〜!気持ちいい〜!)






春の日和に

家の近くの公園に植えられた桜から
溢れている花びら。



いかにも、新学期!入学式!といった
この雰囲気が 私はとにかく好き。




何か

新しく生まれ変わった気分というか
ワクワクする感覚が好きなんだよね。






(クラス替えどうなってるかなぁ〜?
咲と柚とまた同じクラスがいいな〜。)






そんなことを考えながら

るんるん、と通学路を歩いていると
後ろから「はーなっ!」と抱きつかれて

一瞬ビクッとした。





< 7 / 65 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop