妖狐の花嫁





「わっ…その声、咲?
いきなり抱きつかないでよ〜ビックリしたぁ〜。」

「あはは、ごめーん!
てか華知ってる?転校生の話。」

「え?転校生??」







春休み明けに初めて会った咲は
私にそう尋ねながら

コクコクッと大きく頷く。




転校生の話なんて、私初耳ですけど?







「何かねー?
柚が昨日か一昨日くらいに学校行ったら
知らない男の子に会ったんだってー。」






見たことないブレザー着てて
丸Tと廊下歩いてたんだってー、と

咲が目を輝かせながら私に言う。




丸Tとは、私たちの学年の主任教諭の
『丸谷先生』のこと。




その丸Tと話しててブレザーってことは
もしかして…うちの学年に来るのかな?





そんなことを考えていれば、
咲が 更に笑みを浮かべながら

私にその子について話してくる。







「それでね、その子身長が高くて
めーーーっちゃイケメンらしいの!!
どこかのモデルじゃないかって柚が言っててさぁー!」






そう言いながら
咲は頬を緩ませて

まだ会ったこともないその子で
頭がいっぱいの様子だった。






(イケメンの転校生かぁ……。)







そんな漫画みたいな話
本当にあったりするんだなぁ〜 なんて

私はあんまり実感がなくて
ぼんやりそんなことを考える。




まぁそりゃあ
イケメンが絶対に転校しないってことはないし、あり得ないこともないか。






私は咲と一緒に校門をくぐって

そのままクラス替えの張り紙を見に
校舎の方へ足を進めた。





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