涙の流し方
僕は、目を覚ますと隣でお兄ちゃんが椅子に座りながら、寝ていた。



「ぉ…ぃ…ちゃ…」



声がかすれていた。

そこで、酸素マスクがつけられていることに気がついた。


それから、この状況を思い出そうと考え、
意識がはっきりしてきた。


ここは、病院。

そっか、苦しくて、そのまま――。



周りを見渡しても、お兄ちゃんの姿しかなかった。

迷惑かけちゃった。
もう、かけないって決めたのに……。


もう、お母さんに嫌われちゃったかな。

やっぱり、僕は、いつも迷惑かけてばかりいる。

また、怒らせちゃうかな。



酸素マスクを外して、起き上がり、座った。


自分を包み込むように体育座りをして、顔も埋めると少し落ち着いた。


兄を起こそうとしたけど、僕なんかの為に
起こす必要はないと思った。

自問自答しても、涙が出そうになり、こんな弱いところを見せたら、嫌われる。

そう思って、泣かなかった。


久々の家族で出掛けるときにだったのに、
お母さんの言う通りいつもタイミングが悪い。


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