涙の流し方
その日からなるべく、
迷惑にならないようにいい成績をとって、家でもなるべく話さず、お手伝いもしていい子になってみたら、

お母さんが笑う事が多くなった。


 けど、お母さんが笑う度に



『何で僕には笑いかけてくれないの?』



なんて、図々しい事を考えてた。


仕方ないことなのに、そしたら、
いつの間にか、家に帰ることが怖くなった。


誰もいないあの家に自分の声が木霊する


拒絶されてるいるような感覚に襲われるのが耐えられなくて、怖かった。


でも、そんな思いを家族にはさせたくなくて、真っ先に家に帰った。


その頃になると


『お帰りなさい』


それがお母さんとの唯一の会話になっていた。



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