この恋に砂糖は使用しておりません
それだけ言って、あたしの繋いだ手を強く握り返した。
「おれのこと、おいていかないで」
あたしよりも背が低く、細かった、大雅は。
自然と上目づかいであたしを見上げていて。
このときからあたしはきっと。
「いっしょに、しんごうわたろう」
大雅を守るっていう口実で――
「うん、いっしょ」
大雅のそばにいることを選んでいたんだと思う。
たかが信号の話。
先に学校に行かないで、と、そう言われただけの話。
そう、たかがそれだけの話だった。