この恋に砂糖は使用しておりません


――まあ、そっか。


あたし、フラれたし。


あたし、フラれた後に、勝手に拗ねて走り去ったし。


それも、そうか。


――バタン!と開けたドアが、パタリ、と閉まった気がした。


朝から大声で笑いながら登校する小学生が、何人かあたしの前を通り過ぎて行った。


夏の風に吹かれた木が、静かに揺れた。


「…学校いこ」


小さな声で呟いて、あたしは歩き出す。

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