この恋に砂糖は使用しておりません


でもきっとそれは、強く印象に残らないほどあっさりしたものだった、ということの証拠なのだと思う。


喧嘩をしたとか、周りに何か言われてやめたとか、そういうのではなくて。


小学生後半、男女が手を繋いで登校するということに、ちょうど恥じらいが出てきた時期だったからなのかもしれない。


そして――大雅自身が少しずつ、成長していたからなのかもしれない。


手を繋がなくなったからといって、何かあたしたちの関係が変わったわけではないし、それからも相変わらず仲は良かった。


近くなったわけでも、離れたわけでも、ない。


それが良い事なのか悪い事なのかなんて、この頃のあたしは考えたこともなかった。

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