この恋に砂糖は使用しておりません


「屋上とか今開いてんのかなぁ」


先輩の後ろ姿は、大雅の後ろ姿とは全く違った。


大雅の黒髪、先輩の金髪。


そんなに長くない大雅の襟足、少し長めの先輩の襟足。


なんて、あたしも相当、やられてるな。


――雰囲気が正反対なはずの初対面の先輩に、大雅を重ねてしまうなんて。


先輩に手首を掴まれたまま廊下を小走りして、最初の角を曲がった時。


「あ、」


大雅、と、伶先輩。

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