この恋に砂糖は使用しておりません


その一瞬は、まるでスローモーションになったように再生されて。


「――あいみ、」


すれ違い様に、懐かしい声で、呼ばれた気がした。


「た、」


あたしの声は、届かなかった。


ほんの0.1秒とか、その単位の世界だったと思う。


大雅とあたしは、目があった、のではなく、 見つめあった。


夏の風が、あたしの髪の毛を揺らして。

< 128 / 130 >

この作品をシェア

pagetop