この恋に砂糖は使用しておりません
そんなあたしの6年間の小学校生活を締めくくる、最後の日。
「あら~、大雅くんったら素敵なお洋服着て!」
そう、小学校の卒業式、当日の朝のことだった。
あたしはこの日のために母親と選んだジャケットとシャツ、そして可愛いスカートを履いて、母親と一緒に大雅の家まで足を運んでいた。
そこにはあたしと同じく、きっちりとしたジャケットとパンツスーツを身にまとった大雅が、大雅ママと一緒に恥ずかしそうにして立っていて。
そのとき、弱弱しかった大雅がほんの少しだけ大人になったように見えたことを覚えている。
あたしの母親に褒められた大雅はあたしたちに目を合わせようとせず、無理やり着せられたであろうその服装を玄関の鏡でちらちらと見ていた。
「愛海ちゃんも可愛いスカートね、とっても似合ってるわ~」
大雅ママはあたしの頭をポンポンと撫でてくれて、それが嬉しくて。
「ありがとう」
あたしは、笑った。
少ししてからあたしの父親と大雅パパがやってきて、そのまま小学校へ向かった。