この恋に砂糖は使用しておりません




桜の舞う通学路を、あたしと大雅は並んで歩いていた。


「たいが、きょうでがっこうさいごだね」


お互いの親たちがあたしたちの前を歩いているため、いつもの通学路とは違う景色で。


あたしは大雅に、そっと声をかけた。


「うん」


大雅はいつもと変わらない調子で、あたしの言葉に返事をする。


「さみしい?」


桜の舞う音があたしたちを包んで、その風に頬を撫でられる。


「さみしくない」

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