この恋に砂糖は使用しておりません
「セーフ、だったね」
点滅した青信号を、渡り切っていた。
いきなりの出来事に驚くあたしと、走ったために上がったあたしたち2人の息の、わずかな隙間をすり抜けて。
「さみしくないよ、がっこうおわっても」
春の音が、響きだす。
久しぶりに繋ぎ合わせた、この手と手。
懐かしい、なんていう程の年月は経っていないのに。
大雅の目は、あたしを見つめて。
あたしの目は、大雅を見つめて。
「あいみとまた、ちゅうがくもいっしょだから。さみしくない」
春の風は、あたたかく、優しく。
それが、“幼馴染”として“友情”を築き上げてきた小学生の、最後の通学路だった。