この恋に砂糖は使用しておりません
第2章 砂糖:90グラム
その春、あたしたちは同じ中学校に入学した。
「おはよ、愛海」
今より少し高い大雅の声に呼ばれて、あたしは大雅に挨拶を返す。
「おはよ、遅れてごめんね」
「いいよ、行こ」
――毎日あたしが迎えに行かないと学校に行かなかった大雅は、中学生になると、毎日あたしを迎えに来るようになった。
「いってらっしゃい」
母親の声はいつまでたっても変わらず、あたしたちを見送る。