この恋に砂糖は使用しておりません


必死に言い聞かせるあたしは、弱くて。


ずるくて、可愛くなくて。


大雅があたしを迎えに来るようになった理由なんて、きっとない。


大雅の中で、一人の男の子として、一人の人間として、あたしという“女”を、あたしという人間を守るという本能に動かされただけの話。


大雅は少しずつ、“幼馴染”ではなく“男の子”になっていくんだと。




あたしたちの関係を甘いお菓子に見立てて。


そのお菓子に、砂糖が100グラム使われているとしたら。


きっとこの頃から、そのグラム数は少しずつ変わり始めた。


甘くない方向に、ゆっくりゆっくり進んでゆく。


そう。


この頃のあたしたちの関係は、砂糖、きっと、90グラム。

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