この恋に砂糖は使用しておりません


廊下に人が全くいないわけではない。


だけど、大雅とその子の周りには偶然人が少なかった。


だからそのタイミングで、その子は大雅に告白したのだろう。


いや、そんなことはどうだっていい。


どうだっていいんだ、あたしが物申したいポイントはそこじゃない。


「大雅!」


あいつの、名前。


無意識だったのか、そこに意識があったのかは分からない。


気が付けばあたしは、遠ざかる背中に向かって叫んでいた。

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