この恋に砂糖は使用しておりません
廊下を歩いていた生徒たちが、通りすがりにあたしを見ているのが分かった。
見て見ぬ振りをする生徒もいた。
ああ、周りから引かれてしまうほどに、あたしは大声で呼んだのだろうか。
そんなにあたしは、無我夢中で呼んだのだろうか。
理由なんて、あったのだろうか。
理由なんて、必要だっただろうか。
ふと、その背中は立ち止まる。
振り返る。
そして。
「え、何」
いや、何って、何よ。
そのセリフは、どちらかと言えばあたしが言いたいんだけど。