この恋に砂糖は使用しておりません


静かに、でもしっかりと存在感を放ちながら、その声は響いた。


「あ、伶先輩」


綺麗な、人。


気づけばあたしは思わず顔を上げて、教室の前のドアから顔を出すその人物に見入っていた。


伶先輩、先輩、か。


大雅、先輩とも仲よかったんだ。


いつから先輩とコミュニケーションを取れるようになったんだろう。


あたしたちはずっと一緒にいたはずなのに、どうしてあたしの知らない大雅がいるんだろう。


おかしい、やっぱりおかしいな、こんな感情。

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