この恋に砂糖は使用しておりません


伸びてきた手が、あたしの頭を、ポンと撫でた。


ずるい。


顔を上げることはできなかった。


ひたすら、無視をした、意識を、しなかった。


「行こっか」


あたしの前の席に座っていた大雅は、伶先輩の言葉と共に離れていった。


顔を上げると、そこには空の教室だけが残っていた。

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