この恋に砂糖は使用しておりません


大雅の手が、あたしの鼻先から離れる。


喉の奥の方が震えて、心臓の音が耳元で音を立てる。


うるさい、落ち着け、あたし。


大雅はあたしを真っ直ぐ見つめている。


今、今だ。


「あたし、」


「大雅!」


あたしの言葉は、いつもうまく伝えられない。


――また、その声に遮られて。

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