この恋に砂糖は使用しておりません


「…あ、玲先輩、」


あたしを見ていた大雅の視線が、別の場所に動いて。


「ケーキは、また今度にしよっか」


あたしが大雅の視線を追うと、あたしの目には、横断歩道の反対側に一人で取り残された玲先輩が切なく笑っている姿が映った。


――ケーキ。


この後、一緒に食べに行くつもりでいたのだろうか。


あたしも大雅とケーキ、食べに行きたい、なんて。

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