この恋に砂糖は使用しておりません


通行人は、見つめ合うあたしたちを気にしないで通り過ぎて行く。


あたしと大雅だけの、数秒間。


大雅は、あたしを見つめたまま。


その口が、ゆっくり動いた。


「お前をそういう風には、見れない」


――車のエンジン音が大きくなって、大雅の声が聞こえなくなる。


違う。


きっとあたしが都合良く、聞こえないふりをしているだけだ。

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